2021年7月30日作成
生徒様を適切に褒めることは学習へのモチベーションを高めることに繋がります。本ページでは、適切な「褒め方」について検討していきます。
褒めることがもたらす効果
褒めることは一種の快刺激となり相手の行動を強化する因子となります。適切に褒めることは望ましい行動を増やしていく、つまり受験生に対しては学業への取り組みを強めるなど合格により近付くための行動を強化していくことに繋がります。
また、褒めることは外発的動機づけに寄与する可能性があります。
(参考:外発的動機づけと内発的動機づけ)
褒めるタイミング
褒めるタイミングとしては、対象が望ましい行動をとった直後が最も好ましいと考えられます。
オペラント条件付けの理論では、強化したい行動を相手が起こしてからなるべく短い時間のうちに強化子を与えられることが効果的であるとされています。
受験生をほめる上では、学力向上につながる学習行動をとった直後が最も良いでしょう。
なお学習中に褒めることも考えられますが、「もう褒められたからこの後は褒められない」などと考えてその後の学習がおろそかになる可能性は否定できません。
何を褒めるべきか
何を褒めるのかという問題については、褒めることの効果そのものに大きくかかわってくるためしっかりと考える必要があります。
コロンビア大学のClaudia M. MuellerとCarol S. Dweckが128名の少年少女を3つのグループに分けて課題を与え、1. 才能を褒める、2. 努力を褒める、 3. 褒めない、という異なる対応を行った結果、才能を褒めた群と努力を褒めた群は、前者が簡単な課題(好成績を残しやすい)をよく選択し後者が困難な課題をよく選択する傾向がみられました。
そのことから、才能を褒めることは「自分のメンツを守れるが成長に繋がらない行動」を強化することである恐れがあります。しかも、「能力は元々決まっているものだ」という観念を強め努力を軽視し、その結果学業等への取り組みを減少させることに繋がります。
最も良いのは、成長に繋がっていく行動を示す努力を褒め、その強化を促していくことだと考えられます。
行動の改善を目指して褒めるのであれば、その褒める対象も行動の改善(努力)に向けることが正しいと思われます。
教育機関様での活用
教育機関様で生徒様の努力を褒める場合は、授業後や自習室での学習後、課題の完成・提出後などのタイミングにその取り組みを褒めること等が考えられます。