【夏期講習】先生方も睡眠不足に注意 講師の過半数が夏期講習中の睡眠不十分 気分の乱れから対人トラブルに発展する恐れも
~夏期講習中の睡眠と体調に関するアンケート調査を実施~
サクセスケアは、学習塾または予備校で講師を経験された方を対象として、夏期講習中の睡眠と体調に関するアンケート調査を実施致しました。調査結果からは夏期講習期間における先生方の睡眠の不十分さ、不十分な睡眠と気分の乱れ等の症状との関係の強さが示唆され、睡眠が先生方の健康面での課題の一つとなることが伺われました。
調査背景
弊会では御縁のある学習塾、予備校等の教育機関様から「講師の不調が指導に悪影響を与える」という声を頻繁に頂いております。そして多忙な先生方は体調を崩すリスクと常に隣り合わせであり、特に夏期講習期間はそのリスクが高くなることが懸念されます。
そこで、先生方の健康維持や、生徒様が万全な状態の先生方から十分なサポートを受けられることに寄与するため、夏期講習期間における先生方の健康に関するサポートや情報発信の質を高めることを目的として、御相談を頂くことが多い睡眠に着目しその実態を調査致しました。
調査概要
調査対象:学習塾または予備校で1年以上講師として就業された経験がある方
調査期間:2023年6月2日〜2023年6月9日
調査機関:サクセスケア
調査方法:インターネットによる回答(Surveroidを利用)https://surveroid.jp/
有効回答人数:191名
回答者の年齢:19歳〜82歳
調査結果サマリ
- 夏期講習期間の睡眠を「不十分」「やや不十分」とした回答はそれぞれ12.7%、41.5%。合計で54.2%にのぼった
- 睡眠が不十分な場合、眠気や能率低下だけでなく気分の乱れも多くなる
- 自由記述では、「殺気立っていた」、生徒に対する苛立ちなど気分の乱れを示唆する回答、身体症状を記した回答などがみられた
調査結果
夏期講習に従事された経験のある先生は191名中142名、年齢は19歳〜76歳でした。
以下は夏期講習に従事された142名の先生方からの回答をまとめております。
Q.夏期講習時の睡眠は十分でしたか
「不十分だった」「やや不十分だった」が「十分だった」「やや十分だった」をそれぞれ上回り、前2者が合計で54.2%に達しています。夏期講習期間の睡眠不足が頻繁に起きるものであることが示唆されます。
Q. 夏期講習の勤務時に不調を感じていたらその症状を選択してください
どの症状も睡眠に対する不十分さが強くなるほど頻度が高くなります。特に「気分の乱れ」の頻度は睡眠が十分であるかによる差が大きく、なおかつ対人トラブル等の原因となることも懸念される症状のため注意が必要です。
Q.夏期講習時の心身の状態について自由に記入してください(一部抜粋)
・気分の乱れ
- 「生徒に対するイライラ」(50代男性、睡眠「やや不十分」)
- 「ちょっとしたことでも癇癪を起してしまうくらいイライラする」(40代男性、睡眠「やや不十分」)
- 「生徒たちの不安や焦燥感を感じると、自分自身も気持ちに揺らぎがあったと思う」(30代女性、睡眠「やや不十分」)
- 「殺気立っていた」(30代男性、睡眠「やや不十分」)
気分の乱れについて書かれていた例では、すべて夏期講習期間の睡眠について「不十分」「やや不十分」と回答されていました。
イライラや「殺気」など対人トラブルを想起させる記述が目立ちました。睡眠が不十分であるほど気分の乱れが増えることから、そのリスクを減少させるためには睡眠の改善が求められます。
・身体症状
- 「睡眠時間不足により体がむくみ、冷えもかんじていたので婦人科系のトラブルが多かった。いつも緊張していた心理状態なので休みの日も脳が興奮し、落ち着かなかった」(50代女性、睡眠「不十分」)
- 「体調は崩しやすくなり、点滴に行くこともある」(30代女性、睡眠「やや不十分」)
身体症状について書かれていた例では、すべて夏期講習期間の睡眠について「不十分」「やや不十分」と回答されていました。
不眠と身体症状が互いに強化し合うことも考えられるため双方への対応が望まれます。
・生活リズムの変化
- 「時間帯が今までと異なるので慣れるまでがつらかった」(60代男性、睡眠「やや十分」)
夏期講習期間中はスケジュールの変化から先生方の起床時刻がそれまでよりも早くなる場合があり、そうした場合は十分に時間をかけてリズムの変化に体を慣らしていく必要があります。
・期間前より良い、万全だった
- 「緊張感がある状態だが、始まる前よりは良い状態。やるべきことをやるだけなので」(40代女性、睡眠「やや不十分」)
- 「万全だった」(20代女性、睡眠「十分」)
夏期講習期間を比較的好調に乗り切っている先生方も少なくないことが伺えます。もちろん、無理な働き方や生活は疲労を蓄積させて最終的に心身の破綻を招く原因となりますので「無理をしないこと」はすべての方に求められます。
調査考察
夏期講習期間における先生方の睡眠は不十分なものになりやすく、眠気や能率低下、気分の乱れのような業務に支障を来す症状が出現する原因の一つとなっていることが示唆されます。とりわけその傾向は気分の乱れにおいて顕著です。
自由記述の中で気分の乱れについて触れられた内容には、殺気、生徒様に対する苛立ちなど対人トラブルへの発展が強く懸念されるものも含まれておりました。睡眠の改善によって気分の乱れを防ぎ、トラブルが発生する可能性を低減することが望まれます。
睡眠を改善するには
睡眠を改善するための第一手は睡眠環境の改善および眠前・起床後の行動改善です。主な改善策を以下に挙げます。
睡眠環境の改善
- 空調等によって快適な温度(室温および布団の中)を保つ
- 枕や布団をできるだけ快適なものに交換する、または使用している寝具に不快を感じる原因を解消・軽減する
- 寝室を可能な限り暗くする
- 耳に入る音を可能な範囲で減らす
眠前および起床後の行動改善
- 就床する6時間前以降にカフェインやニコチンの摂取を避ける
- 就床前の食事を避ける。ただし空腹が強い場合は少量の軽食を摂る
- 眠くなってから就床する(ただし睡眠薬の服用後はすぐに就床する)
- 就床後15-20分程度経っても眠れない場合は布団を出てくつろぐ
- 起床時刻を決め、起床後すぐに太陽光を浴びる
- 朝食を必ず摂る
また不眠が続く場合、特に、不眠による苦痛や生活・業務への悪影響が強い場合は早期にメンタルクリニック等の受診を検討しましょう。メンタルクリニックは予約から受診まで1ヶ月以上を要することも多々あるため予約は早急に決断してください。
身体的な問題が不眠の原因となる場合も多々ありますので、身体面の不調を感じた際も躊躇せず医療機関を受診するようにしましょう。
夏期講習に伴って起床時刻を前倒しする必要がある場合は、まず起床を早めるようにしましょう。起床時刻を調整している途中の負担や苦痛を少なくするためには、日程やスケジュールの許す限り早期から毎日少しずつ起床を早めていくといいでしょう。
なお眠気がないにもかかわらず就床を早めることは、すんなりと入眠できなかった場合に不眠への不安や恐怖を強め不眠の発生・強化につながる恐れがあるため避けた方がいいでしょう。起床時刻を早める場合は起床の前倒しによる調整が賢明です。
睡眠不足は日中の生活や業務に支障を来すことが問題ですので睡眠時間そのものにとらわれる必要はありません。
睡眠時間へのこだわりは不眠への不安や恐怖につながり余計に睡眠状況を悪化させる原因ともなりますので、睡眠が十分かどうかを判断する際には「生活や業務への影響」に着目してください。
サクセスケアについて
サクセスケアは、受験生の方を主な対象として「力を出し切る」ための幅広いサポートを実施しております。
その一環として、受験生の方を支える先生方や保護者様の健康に関する相談対応や情報発信を行いサポートの間接的な強化を図っております。
ほか学業試験を競技の一種とみなしてアスリート向け心理検査のDIPCA.3を受験生等の方に応用しメンタルサポートを行うと共に、サポートの更なる改善、得られた知見の運動競技等への逆輸入をねらいとして独自に研究を行っております。